震えてるのは君のほう

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自選10短歌集2023 振り返りと解説

企画「自選10短歌集2023」に参加しました。皆さんの自選ページが並ぶ中で、No.41に掲載いただいています。

【好きなものと短歌と過ごした一年。】 #自選10短歌集2023|鷹野

昨年は9月21日に自担だった河合郁人さんのグループ脱退発表があり、3ヶ月後12月21日の脱退で締め括られました。現在も引き続き同じ事務所でタレント活動を続けているとはいえ、ファンとしても慌ただしかった年でした。

 

10選と並び替え

昨年分は作ったものをひと通り見直して10選を考えたのに対して、今回は印象に残っていた自作をざっと挙げた時点でほぼ10首でした。それらを初出からコピーして作成時期の順に並べ、次に並び順を検討しています。

前半に作ったものなどいくつかは忘れている可能性もあると思いつつ、自分の記憶に残っていないものが急に年間の自選に上がることもないだろうと深追いをやめました。

 

色と字体

文字色は洋色大辞典からグレープ #56256e を選んでいます。(応募フォーム内に「和色大辞典」のリンクもありました)河合さんのメンバーカラーの紫です。

字体は明朝体と迷った上で丸ゴシック体にしました。丸ゴシックの柔らかさが好き。

文字色と字体のおまかせもできるのでお願いしてみたくはあるものの、決める過程が楽しくてつい選んでしまう。

 

それぞれの短歌

自選とした10首について、背景など書きます。

ロケバス内ハンディカメラの画質でも つやつやの頬 きみは光源(アイドル)

『きみはアイドル』という結句で皆さんが詠まれてたの、あれのアイドルの箇所を思い思いに漢字に変換したやつ集めたい

https://x.com/suoak_aynou/status/1688137773038112768?s=20

上記をきっかけに作った短歌です。

A.B.C-Zの番組で一時期よくあった、グループでの移動中にメンバーが手持ちカメラで撮っていた映像。機材や照明がベストではなくても河合くんの肌はピカピカだったなあと思い浮かべていました。

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迷わず先頭にしたものの、自選10短歌集2022に参加したとき1首目の上の句が「ノンカロリーのガムシロップを飲み干して」だったから2年連続でカタカナが多めになってしまっていた。編集の際にはお手数をおかけしました。

 

バーチャルで生きていたいよ剃刀を滑らすことも泣くこともなく

粘菌歌会の第63回 テーマ「手」に投稿した、夏頃に作った短歌です。

剃刀で指の産毛を剃っていたらうっかり手が滑って皮膚に血がにじんでしまったときのことから着想しました。バーチャルの存在だったらこういう地味に嫌なこともなくて、それなら涙も出ないんだろうな、と。

ちいかわで主要キャラクターたちが「なんとかバニア」に変えられてしまったときの台詞「泣いても涙がでないや」にも少し影響を受けているかもしれない。

粘菌歌会には何度か送っているものの、未だ入選には至らず。今年もできるだけ投稿できればと思います。

 

「一緒に行く?地獄」と笑ったあなたから視線を逸らし未(ま)だここにいる

杏湯さんの企画「地獄めぐりの旅」に触発されて「地獄」を題材に作り、提出しました。

かぎ括弧の中は、戸塚祥太さんが2018年3月13日のラジオで発言したことです。
私がA.B.C-Zのファンになったのは2018年の8月なので実際に聞いたわけではないのですが、ファンの間で定期的に話題に出ていて知っていました。もはや伝説。
(中略)
地獄へ一緒に行こうとまで笑って言ってくれる人がいても、目を逸らして立ち止まってしまった。差し出された手を取らずに残ったここだって別にそれほどいい場所じゃないけど、なんとかやっていこうと思う。そんな思いで作った短歌でした。

短歌企画「地獄めぐりの旅」に参加しました - 震えてるのは君のほう

 

理想ってなんだと思う?箱庭の外で実った苺が落ちる

アキタさんとテーマをひとつずつ出し合って短歌を作った際の1首。

私が出した「理想」とアキタさんからのテーマ「箱」の両方を入れ込んでいます。

「理想ってなんだと思う?」は戸塚祥太さんのソロ曲「星が光っていると思っていた」にあるフレーズ「才能ってなんだと思う?」から取っています。
作っていたとき苺のチョコを食べていたから、箱庭と苺のイメージが浮かびました。理想→楽園の連想で「りんご」でもいいかな?と思ったものの、柔らかさと水気と生々しさを「箱庭」の静けさと対称にしたかったので苺に戻したという経緯です。

アイドル短歌で、自分の出したテーマも作る相互題詠をやってみました - 震えてるのは君のほう

 

愛なんだ どこまでも巡る日常も がんばれるのは好きがあるから

昨年10月に公開されたアイドル短歌アンソロジー「アイドルが好き」に寄せて作りました。こちらのアンソロも、自選10短歌集と同じく鷹野さんの主催です。

公募されていたテーマ「アイドル」に沿いつつ、アンソロ題名の折句としています。

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V6さんの「愛なんだ」は昨年行った披露宴のケーキカットでも流した曲だったため、個人的な思い入れも含めています。
ありふれたファンの気持ち短歌かと思いきや実は折句、というものになり、気付いた方からお褒めの言葉をいただけて感激でした。
折句などの仕掛け要素を含みつつ、それを抜きにしても人の心を掴めるようなエモーショナルな短歌を作ることが今後の目標です。
アイドル短歌アンソロジー『アイドルが好き』に参加しました - 震えてるのは君のほう

 

本当は前髪が○○ほうが好き だけど今年のうちわも最高

碓氷さんの企画「上×下」第4回へ参加したときにテーマ「秘密」で作りました。

参加者それぞれで上の句をひとつずつ作り、皆の上の句に下の句を続けるという企画です。

自選には、提出していた上の句に自分で下の句を続けた短歌(企画内には未掲載)を入れました。

テーマが「秘密」であること、また複数の方が下の句を続けることを踏まえて伏せ字を使ってみました。個人的には前髪がない方が好き。

 

俺たちとみんなにそれぞれの人生 おかえりを言う さよならがある

第5回A.B.C-Z歌会「A.B.C-Z」に投稿した短歌です。

A.B.C-Zとそのファンにとって、2023年は「塚田さん休養→塚田さん復帰→河合さん脱退発表→河合さん脱退」と激動の年でした。

復帰と脱退発表が立て続けにあった時期に作ったので、おかえりは明確に「言う」さよならは曖昧に「ある」としています。

上の句はグループ定番のフレーズ「俺たちとみんなでA.B.C-Z」から。2019年のコンサートSPOT映像のラストにその様子が入っています。

 

泣かないと決めた人らを見守ってときには雨も降らせる仕事

脱退発表の1ヶ月後にあった河合さんの誕生日に、ファン歴の長い河合担の相互さんと会って話しました。

そのときに「脱退するまでは泣かないと決めている」といった旨の話を聞き、見守りたいなと自然に浮かんだ短歌です。

泣かないと決めた人が涙をこぼしてしまったときには雨を降らせてごまかす、のイメージでした。

 

生前葬が終わる やがて地続きで余生と来世のあいだ漂う

ABC座の公演期間ラスト近くだった12/19昼公演で塚ちゃんの挨拶を聞き、その中での「こうして河合を見送ることができて(ニュアンス)」になんだか生前葬みたいだと思ったことから作りました。

脱退したあと自分はどうするんだろうと漠然と不安に思っていたので。

普段は意識して使わないようにしている生き死にまわりの強い単語を1首内に目一杯入れています。

 

胸をさすトゲは消えない夜だけど 恋わずらいの顔してくれる

さすがに10首の最後が生前葬というのもな〜と3月に作っていた短歌をラストに持ってきました。

それなりに前向きに締められたし、時期が違うにしては連続性をもって着地できたと思います。

JUDY AND MARY「そばかす」のCメロの歌詞「胸をさすトゲは消えないけど カエルちゃんもウサギちゃんも笑ってくれるの」から取りました。

 

2023年の自選5首

ハッシュタグ#2023年の自選五首を呟く」にも投稿しました。基本的には10首を自選した中から選んでいます。

このときの画像は明朝体で作りました。

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先頭だけは自選10短歌集への提出から泣く泣く外したものです。アキタさんとの相互題詠で作ったうちの1首で、ルビがないと読みにくかったので外して自作画像に入れました。

 

フリースペース

画像に入れていただいた内容を、改行を入れて転記します。

1首目の結句「きみは光源」は「きみはアイドル」と読みます。

2023年は「布武せいら」名義で歌会へ投稿を始めた年で、アンソロジー「アイと短歌」に参加した年でもあり、自担こと河合郁人さんがアイドルを卒業した年でもありました。

アイドルの彼を2018年の夏から5年と少し応援していて、幸せでした。ありがとうございました!!

締めの言葉は、ABC座2023の金テープに書かれていたメッセージから取りました。

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帝劇ではエンドロールの最後に5人それぞれのメッセージが座組全員の集合写真と重なっていて、過去形が胸にぐさっときた言葉です。

また2022分のフリースペースで名前を出した方について今回は触れていないのですが、変わらずファンを続けています!2023年はその人周辺の短歌を作らなかったので、フリースペースの文字数との兼ね合いもあり省きました。

 

おわりに

目次を見て、名前に複数名義を併記する手があったか〜!と思いました。次回も参加できれば、その際には併記したいです。気が早い。

アイドル短歌が短歌への入り口だった中で対象としていた人がアイドルを辞めたため、これからどう短歌と向き合うのか考えています。

2024年は気になった賞や歌会、企画へ投じたい。選ばれた作品が載る場で言及されるものを作ること、そして続けることが目標です。

 

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