震えてるのは君のほう

You’re Dream Maker.

映画「怪盗クイーンはサーカスがお好き」感想

※本ページはプロモーションを含みます

かつての愛読書が劇場版OVAという名の映画化をしました。

はやみねかおる先生の「名探偵夢水清志郎事件ノート」シリーズで敵(かたき)役として登場した「怪盗クイーン」が主人公となった第1作がこの「怪盗クイーンはサーカスがお好き」です。

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以前ブログで歴代のハマっていたものを書いたときも、真っ先に怪盗クイーンのシリーズを挙げていました。

赤い夢…!青い鳥文庫でどれだけの小学生が目覚めたかわからない、予告状とか暗殺集団とか「仕事上のパートナー」とか。

優雅な休暇とピラミッドキャップと魔窟王の話が印象深い。大学でも「クイーン派だった?ジョーカー派?」って何度か盛り上がった。私はジョーカー派です。

先日2019年バレンタインに重大発表予告、みたいな告知があったときホームページを覗いたらRDが人の姿を持ってて時の流れを感じた。

重大発表は児童文学賞の受賞だったはず、アニメ化の発表も待ってます。

https://surfcitybabies.hatenadiary.jp/entry/2019/05/25/235855

いやあ、しましたね。アニメ化。映画で。

大学では同世代の共通の話題として「クイーンに憧れてた」とか「ジョーカー(ヴォルフ)が好きだった」とか男女問わずきゃっきゃしてたけど、映画を経た今はもうその軽さでは話せない気がします。もっと本気の重さになってしまった。

小学校の図書室で夢中で読み、一旦離れた期間もありつつ『かぐや姫は夢を見る』までは既読。そんな視点からの「怪盗クイーンはサーカスがお好き」映画感想です。

(ストーリーには触れつつトリック部分への明言はなし、程度のネタバレをしています。)

 

舞台もアニメも好きなので、元タカラジェンヌ大和悠河さんに加藤和樹さん、内田雄馬さんと声優陣にも期待が高まっていました。

加藤さんの声だと渋すぎやしないかと気になっていましたが、完全に全くそんなことはなかった。この声でした。もう全員居た。

オンラインの前売りを購入して初日に行っています。退勤後、予約した映画館の最寄駅に着いたあたりから動悸が止まらなかった。

最初からほぼ最後まで、胸のときめきと物理的な動悸で胸を押さえつつ観ていました。トルバドゥールで飼われる猫の1匹になりたかった気持ちを完全に思い出した。

より正直に言うと、小学生だった頃の私はどうにか物語に入りたかった。けど想像の中では「何か事件に巻き込まれ記憶も一時的に失って拾われる、しばらく飛行船中で過ごさせてもらうものの出された捜索願と一致しているのが見つかりそっと帰されて日常に戻る」くらいが精一杯で猫になりたいと思った経緯があります。それだけ当時の生活もそれなりに楽しかったってことなんだと、今なら思う。

犯行予告やその反響がSNSのトレンドに入る描写に、作中と現実が地続きに作られていることを実感。だからこそ反戦のメッセージもより響きました。

 

サーカスの客席では「盗んで♡」のうちわを持っている女の子もいたし、現代日本の推し文化の中でクイーンが完全に「推される」対象になっていた。でも実際問題、いくら義賊寄りとはいえ世を騒がす犯罪者に対して無邪気にはしゃいでいいのかって葛藤(とSNSでの議論)はありそう。

その点(ファンタジーではありつつ犯罪を綺麗に表現することの是非)については、後日読んだ作者インタビューでも度々触れられていました。

「クイーンの場合、なにを盗ませるかが決まると早いんですが、そこはいつも悩みます。というのも、僕は元教師なので、物を盗むのはよくないことだと思うし、そういう物語を子どもに読ませるのもどうかと思っていて。だから物語の方向性が決まるまでは、怖くて決められません。」

「怪盗クイーン」シリーズ原作者のはやみねかおる、20年目にして明かす制作秘話「なにを盗ませるかいつも悩みます」 - 3ページ目|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS

“怪盗”というのは、モノを盗む存在です。モノを盗むというのは、悪いこと。私は教師をやっていたということもあり、「悪いことをするキャラクターを主人公に、物語を書いてもいいのか?」ということがずっと引っかかっていました。
原作者のそうした引っかかりを感じて、クイーンも「仕事をしたくない」とソファでゴロゴロしているのかもしれません。

それと例えば、畑の大根を盗んだとしても、犯行声明のカードを残しておき、それを売ったら大根を数百本買えるぐらいのお金になるなど、物語をそうした作りにしているのは、私の“モノを盗む”ことへの引っかかりが反映されていると思っています。

『怪盗クイーン』は「夢水清志郎」から誕生? 元教師の人気作家はやみねかおるの世界 - コクリコ[cocreco]

 

ジョーカー扮する岩清水刑事がライオンを投げ飛ばす場面で、目が一瞬青くなる演出が本当に好きです。あんなにかっこいいことが間近で起こってどうしてその場の誰も恋に落ちないんだ!と真剣に憤りたくなるくらい。まあ亜衣ちゃんにはね、レーチがいるからね。しょうがない。

そして「岩清水くんが素手でライオンを投げられるわけがない」と捕まったジョーカーが、自分が囮になっても意味がないと話す場面。「クイーンの言いそうな台詞」がクイーンの映像で表現されたことに何だかすごくびっくりしました。

初めて読んだ日からこの時まで「ジョーカーが一切のモノマネなしで淡々と台詞を再現する」姿を想像していたので。こういうことも映像化の醍醐味ですね。

あとは空中ブランコを映画館の大きいスクリーンで観られてよかった!

エンディングでは「君が今盗んでくれたね 諦めに穢れた日々」のフレーズが心にまっすぐ刺さって涙がにじみました。

その日は帰ってからも童心のままに放心状態だった。次の日には戻ったけど。

 

その後、当時いっしょに図書室で青い鳥文庫をいろいろ読んでいた幼馴染み(この記事にじさんじレオス推しです、最近は軽い気持ちで見てみたサロメお嬢様を本気で好きになってしまったとのこと)に「絶対に観たほうがいい」と連絡し、その流れで誘い二度目を観てきました。

原作の細かい部分を忘れていたりで初回は気付けなかった仕掛けもしっかり確認できて、楽しかったです。

上映後に話してみたら明らかに私の方が思い入れが大きくて半ば強引に誘ったことが申し訳なくもなったものの、楽しんでもらえてよかった。

小学校の同級生と観られたことの醍醐味は、なんといっても「小学2年の担任の先生の名前と出席番号、覚えてた?」の話ができたことです!クラスも同じだったので、忘れていた友人に「○○先生だったよ〜!」って言えました。

ちなみに普段の記憶力はそうでもなくて、私が2年生になったタイミングで転校したから印象に残っているだけ。

当時の出席番号は8番でした。県内での転校だったにもかかわらず、数え方が男女別の名前順から男女合同の生年月日順に変わったことが衝撃的で覚えています。

大和さん、宝塚の中だとなんとなく月組っぽいなと思っていたら元宙組トップさんでした。でも経歴をさらに調べたら月組から宙組への組み替えを経ていたので、自分の感覚も捨てたものではないらしい。宝塚、まだまだ奥が深いです。

ズボンを脱ぎ捨て挑んだ13年間、大和悠河「ようやく私に」 » Lmaga.jp

なんだかもう全体的に好きで、特典も気になるけど回数を重ねるのが怖い!というのが2回目を観た日の気持ちでした。これが赤い夢に囚われるってことなのか。

LINEスタンプも購入しました。「ありがとう」ばっかり使ってる。

そして「もう観るのが怖い、あと熱いお茶も怖い」の気持ちで申し込んだ追加舞台挨拶が当たりまして、そちらも控えております。おそらくそれが一旦の見納めになりそう。楽しみです。(これを書いている途中に、内田雄馬さん新型コロナウイルス感染による欠席のお知らせが出ました。一日も早い回復を祈っています……!)

(追記:舞台挨拶に行ってきました。)