震えてるのは君のほう

You’re Dream Maker.

コイベビ短歌と赤坂ACTシアターの思い出

先日、音楽劇コインロッカー・ベイビーズについての短歌を詠みました。

2018年7月、赤坂ACTシアターで3回観た公演です。村上龍さんの原作読んだな〜懐かしいな〜と軽い気持ちでイープラスを頼り足を運び、東京公演終了後のロスから河合担になりました。

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使った写真は、当時撮ったメトロ赤坂駅から階段を上がるときの景色です。このブログのアイコンにもしている。

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パルコステージの公式サイトからあらすじを引用します。

コインロッカーに捨てられた子供、その中でかろうじて生き残った二人の赤ちゃん。キクとハシは施設で育てられた後、双子の兄弟として九州の離島に住む夫婦のもとで暮らすことになる。

感受性が強く優しいハシは、頭よりも身体を先に動かすキクの影に隠れる大人しい少年。しかし、ある時を境に彼は世界中のあらゆる音を聞こうとテレビなど様々な音源に耳を傾けるようになり、その他のことへの関心を失ってしまう。

実はハシとキクは、物心つく以前、暴力性を制御できない問題児だった。それを精神科の研究者が心臓の鼓動をもとにしたリズム音によって治療を行い、暴力性を抑えることに成功。そのおかげで彼らは社会に適応できるようになっていたのだ。しかしとあるきっかけにより、ハシはかつて聞いたその音の記憶を思い出してしまう。

それが自分の母親と結びついていると考え、母親を探しに東京へと旅立って行く。その後、東京でハシは様々な体験をした後、Dと出会い、歌手としてデビュー。その独特の歌唱法によりカリスマ的な人気を獲得してゆく。

一方キクは、その内在するエネルギーを「飛ぶこと」で解消していた。陸上の棒高跳びで活躍していたキクは、家出したハシを追って東京へ育ての母の和代とともに出発。東京で突然和代が亡くなってしまい、彼はひとりぼっちになるが、巨大なワニのガリバーと暮らす不思議な少女アネモネと出会う。彼女とふたりで世界を破壊するため、謎の物質「ダチュラ」を探す約束をするが……。

音楽劇『コインロッカー・ベイビーズ』 | PARCO STAGE -パルコステージ-

宝塚の木村信司さん演出作品です。A.B.C-Zの橋本良亮さん、河合郁人さん主演。

2016年の初演では昆夏美さん、再演は山下リオさんがヒロインを演じていました。

キービジュアルやインタビューは特設サイトに残っています。

ここからは短歌について順番に書きました。ボツにした分も末尾に載せています。

 

高跳びで壁越えたきみ その頭上にも背後にも雲ひとつなく

キクの歌です。高校で陸上の選手だったキク。

夜の東京で高い壁を飛び越えて危ういコミュニティへ飛び込んだ場面と、高校時代に選手として青空の下で高跳びをしていた姿の想像が重なりました。

読み返していない原作の方には天気の描写があったかもと不安がよぎったものの、まあ舞台上には物理的に雲ひとつないわけだからと押し切って決めています。

 

「暑いね」が暑い以外の意味を持つ目撃者たちだけの暗号

公演の序盤に「暑いな、暑いね」という場面があったことを夏になるたび引きずっている。

同じ作品を、なんなら2016年の初演から観ていた方もいるタイムラインで台詞を意識したツイートをするのと見るのが夏の恒例。

一見普通の言葉で密かに思い出を共有できる嬉しさを短歌に込めました。

というか今年が暑すぎる。例年は「暑いね」といえば7月か8月だったのに今年は6月から既に猛暑だった。そんな天候からの連想もあり、観た公演から丸4年が経った今改めて短歌を作りました。

 

変わるならあたしの手で終わらせたいと思ったの そのときはたしかに

赤坂ACTシアターハリーポッター専用劇場に改装されると知ったときはショックだった、けど最近は諦めがついてきた。という歌です。

当時の気持ちを思い出そうと、ニュースがあった日のツイートを見直してみました。

2幕の最初は、ハシを庇って彼の母親を撃ったキクが裁かれる裁判のシーンから始まります。生気を失った様子で実刑判決を受けたキクに向けて、彼の恋人アネモネが「死んだように生きるなら あたし あんたを殺してあげる」と歌うわけです。

そのあたりの展開や歌詞を踏まえて「思い出の場所が別物へと姿を変えてしまうくらいならいっそのこと自分の手で」といった旨をツイートしたら「オタクの過激な発言」のニュアンスで(おそらく作品を観ていない人のところにまで)少し広まった。

皆それぞれ過去に似たような思いを持ったことがあるのかもしれない。

ハリーポッター呪いの子も気になってはいるので、そろそろハコの思い出とは決別?してチケットを取りたいと思う今日この頃です。

あのときは確かにショックが大きかったのに、激情ってここまで薄れるものなんだなあ。

赤坂をあたしの手で終わらせたいと 思ったの そのときはたしかに

いつからか三人称視点の記憶 赤坂を終わらせたかった日

 

いつからか三人称視点の記憶 赤坂 2階席 カーテンコール

なんか記憶って最初は自分の視界なのに時間経つとだんだん俯瞰にならない?

2018年のコインロッカー・ベイビーズではカーテンコールで主演ふたりが2階の通路まで来てくれたんですよ。橋本くんが上手側、河合くんが下手側から2階の通路に入ってきてそれぞれ中央まで行ったらまた引き返していた。

当時はジャニオタではなかったものの、素の笑顔で手を振る姿を間近で見られたのはやっぱり嬉しかったです。2回取ったリピーターチケットでも席は2階の前方中央を選んでいました。

客席降りみたいな感覚だったのかな。それ以前にも以後にも、そうしたカーテンコールは見たことがない。

いつからか記憶は三人称視点 赤坂2階はまだそこにある

思い出の場所は消えても特別なままで2階のカーテンコール

 

おわりに

アイドル短歌に関するTwitterコミュニティ「アイと短歌」で自作短歌を添えて各々の好きなものを紹介する流れがあり、改めて思い出の作品と向き合うことができました。このブログの「舞台コインロッカー・ベイビーズ」カテゴリにまた記事が増えることがあるとは。

円盤、ダイジェスト動画ともに映像の残っていない舞台を自分の中で形に残せたことも嬉しいです。ありがとうございました!