震えてるのは君のほう

You’re Dream Maker.

『それを言っちゃお終い』今江大地さん・飛龍つかささん回の感想

3月3日に六本木トリコロールシアターで「『それを言っちゃお終い』VII. 〜ストレートプレー〜」千秋楽公演を観てきました。今江大地さんが女性を、飛龍つかささんが男性を演じた男女逆転公演です。

私はつー担(つかささんのファン)でチケットもFCで取っています。そして今回は今江さんとつかささん双方をはじめて観る、今までに触れたことがないジャンルの舞台に行ってみたいと言ってくれた相互さんと観ていました。


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つかささんのFC限定配信で「笑えるシーンが多い、台詞に共感しながら聞いてほしい会話劇」といったように聞いていたものの、雰囲気を想像しきれないまま観劇の当日に。

会話劇って朗読劇みたいな感じかな?難解だったらどうしよう〜と構えていましたが、セットと動きがしっかりあるダイナミックなストレートプレイで楽しかったです。

おふたりの衣装もしっかり役に寄せられていてそれぞれ女性らしい、男性らしい服装でした。

見切れているボトムスはデニムのパッチワークのロングスカートでした。

今江さんが劇中で度々やっていた「彼女」の含み笑い?目を細めて口だけ笑っていたような表情が印象的です。ちょっと慎吾ママを思い出したので、今江さんの素顔が香取慎吾さんに似ているのかもしれない。

つかささんの衣装写真は見つからず、こちらの投稿での服装が近い雰囲気だったので載せます。実際にはグレーを基調としたパンツスタイルに革靴で、靴下の花柄(ブルーグレーにくすみピンクのお花だったような)に抜け感を感じました。

他の方のレポによると、おふたりとも靴下は日によって違ったとのこと。靴下が日替わり要素って珍しくて面白い。

 

出演は2人でも、話の中でだけ言及される登場人物が多いので相関図を作って整理しました。

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彼と彼女の娘の名前はアンヌで、彼と前妻の息子はアントワーヌ?のような女性的な名前で言及されていたような。後から女性名を名乗ったのかも、など想像しました。

フリーハンドの手書きを公開するのは気が引けたのでアプリでも作ったものの、無料で登録不要のアプリだと複雑な家系図は作れなかった。彼・彼女どちらかの初婚は表示が省略されてしまう仕様だったので諦めました。

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席に着いたときから紗の奥で演奏されていたピアノが開演時間に一度止まり、プロデューサーさんの挨拶が数分あってから本編へ。

景というかショートコントのような短編に分かれていました。(舞台下手にイーゼルが立てかけてあり、話が変わるごとにタイトルをめくっていた)つかささんの事務所の告知では「15景の物語」と書かれていたのですが、観終えて書き出した限りでは11景だったはず。元の脚本から一部(過激なパートを)カットしたのかな?と推測しています。

各景の感想を書きました。ネタバレあり、結婚3年目のアラサー女性目線での自分語りもあり。順序や細部は曖昧です。

 

ケーキ

義理のお母さんの手作りケーキに「パサパサしてる」と言い放った嫁と後からそれを責める旦那、と比較的わかりやすい話でスタート。自分のお義母さんは料理上手でよかった〜と思ってしまった。

タクシーの配車アプリが出てきて、意外と現代的で驚きました。何故か少し古い時代のイメージを持っていたので。帰りがけに入り口のポスターを見直したらちゃんと「フランス現代劇」と明記されていました。


小児性愛

7歳の娘の習い事には同性の先生がいい、はわかる。実際深刻な事件も多いので。それでもやっぱり「(その先生は)小児性愛者じゃないですよね?」ははっきり言いすぎている!


履歴

同行者からここの景の「彼女」のボトムスが黄色で可愛かった〜と聞いたものの、全く記憶にない😂(←普段ブログ内で絵文字は使わないものの、iPhoneのメモアプリに残していた文をせっかくだからとそのまま貼りました。)

つかささんの口から「エ◯サイト」って言葉が出たのが衝撃すぎた!つかささんに品があるのでオッケーです。


ほのめかし

タクシーの中でのやり取りだったので、急ブレーキのとき腕を出して隣の席をかばった「彼」にときめきました。

友人夫婦と食事したときに夫が「ここの支払いは持つよ」と宣言して支払ったので、自分がまるで囲われているようで嫌だったと主張する妻。現状共働きの妻なので分からなくもなかったものの、彼女が主張するくだりが体感かなり長かったので徐々に「分からなくもない」よりも面倒さが勝ってしまった。彼と彼女それぞれへの共感を行ったり来たりした景です。

それでもやはり「(結婚したことで私が諦めたのは)自立している女性だということよ」と締められた言葉を聞いて、自立へのこだわりが薄い方だと自覚していた自分としても共感はありました。

数ヶ月前に前職の元同期(お互い転職済み)と会った際に時間の余裕がありそうでいいね〜と言われて「私は年収増よりフレックスを優先したから」のように話し、解散した後で(結婚したから自分の収入は少なくてもいいように思われたかな)と気にしたことを思い出したりもして。

 

この世の終わり

彼の「いい天気〜!」が可愛かった!2月に27度の暑さはヤバい。

彼女の前夫との間の娘がいわゆる環境活動家で、上の世代の環境破壊が異常気象の原因だと主張している話を受けて彼が「飛行機が環境を壊すと言ったって、自分が乗らなくとも飛行機は飛ぶんだ。俺が大統領なら話は別だろうが」のように主張していて。最近のニュースに対しても近い葛藤があったので胸が痛みました。

それまで好きだったものに対して、作っている企業の方針や裏側がわかって賛同できなくなったとき。自分ひとりが離れても離れなくとも影響はないことを実感して辛くなり開き直りつつもあったところなので、どのように向き合うべきか引き続き悩んでいます。

(それこそ演じたおふたりにとってもそれぞれ思うところがあったかもしれないテーマと感じ、勝手に苦しくもなりました。)


左翼

テーブルを挟み向かい合って座った2人の間を「右」「左」と大きく書かれたカードが飛び交う、視覚的に楽しい回でした。どちらも勢いよく叩きつけたり投げたりしていたのに、舞い方が綺麗でプロの技を感じました。

彼の「たしかに右翼に投票はしたが、俺は右翼になったわけではない。左翼の主張が理想と違っていたから自分の考えに沿う主張に投票したら、それが右翼だっただけなんだ。納得のいかない左翼に投票するよりも左翼的だろう」といった主張に(女装は男性しかできないから最も男性的な行為である、みたいな話かな?)と思ってちょっと可笑しくもなりつつ、納得。

政治観を友人間でも家庭内でも積極的に話すというのは、フランスのお国柄だろうなと思います。


キックボード

つかささんのエプロン姿が素敵でした。

キックボードを使う彼女を嫌がりつつ、店休日前で閉店間近のお店に置き忘れた自分のスマホを(徒歩では閉店に間に合わないからと)キックボードで取りに行ってもらう彼の苦渋の表情が微笑ましかったです。

改めて考えると、徒歩でも數十分しか変わらないならお店に頼んでちょっと待ってもらえばいいのでは?と思わなくもない。そういう融通がきくかもしれない余地があるのは日本独特の文化なんだろうか。

それにしても、彼はなんでそんなにキックボードを嫌っているんだろう。小さい頃に子供用に乗っていた以来で、確かに最近は使っている人を全然見かけないけど。品がない(ように見える)から、とかかな。


代理母出産

彼の(と先妻との)息子とその男性パートナーの子を、彼女の(前夫との)娘の卵子を用いて彼女が代理母になり出産するのはどうか?と彼女が提案して彼が慌てる、という話。文章にするとややこしい!ここを整理するために家系図を書いたくらいです。

結局彼の夢オチではあったし彼女には年齢的に無理だと一蹴された訳ですが、実際どちらの言い分もわかってしまった。お金も少なく済む上により身内だと思えるという彼女の考え方も、妻が孫を出産するくらいなら費用を出すから第三者に頼んでくれと拒絶する彼の感情も。

日本ではまだまだ制約が多く現実的でないとはいえ、これは簡単に結論が出ないなと考えるきっかけになりました。


形成

整形の話。彼女が「私はリフティングはしてない」や「私がやっているのは整形じゃなくメンテナンス」と主張していて(いや第三者から見たら同じようなものだって!)とコメディではあったものの、当事者ではない引け目から笑いにくかった。素直に受け止めれば、彼女と友人は五十歩百歩(だけどそれを言っちゃおしまい)っていうのが笑いどころなんだろうけど。

 

幽霊、家族の秘密

順番が前後しますがここの感想はまとめます、数年前にトラブルがあって今後もう交流を持たないだろうとなった親戚のことを思い出しました。やっぱり大人になると居ないことにする親戚ってできるよなあと思った上で、その対象が父で事情を伏せたいのが母ともなると本当に辛いだろうと痛感します。

そこから最初の景につながって綺麗にオチがついたのが憎かった!思わず笑って、爽やかに観終えられました。

 

カーテンコール

千秋楽だったこともあって何度も出てきてくれて、たくさんお話を聞けて嬉しかった!

皆さんどちらに共感したでしょうか、と言われたときにはパッと出てこなかったけど、こうして感想を書いた上で改めて振り返ると話題ごとにどちらの立場にも立ちつつ若干「彼」寄りだったかなあと思います。

彼は彼女の自立した精神や芯の強さが好きだとして、彼女は彼のどこが好きなんでしょうね?と客席に問いかけられたとき(顔〜〜!!)になってしまった。彼に限らず、舞台上の2人を愛せたのは今江さんとつかささんのチャーミングさと愛嬌があったからこそだったと思います。

あとは男女逆転で見たことで男女それぞれの生々しさがなくてよかったのかもしれない。刀ステの「禺伝 矛盾源氏物語」で、元タカラジェンヌさんを中心に女性だけで演じられた源氏物語(を軸としたストーリー)を観たときを思い出しました。

終演後にプロデューサーさんから改めてご挨拶があり、新しい試みだった男女逆転がとても素敵な仕上がりになりましたと聞けて嬉しかったです。

→先日さっそく新たに俳優班・花組出身ペアが発表されました!それぞれが男女2役いずれも演じるということで、1公演の中で場面ごとに交代するのか上演回によって役替わりなのか気になっております。こちらも観たい!

松本幸大・瀬戸かずや「それを言っちゃお終い」で男女2役演じる(コメントあり) - ステージナタリー

トリコロールシアターの帰りは近くのアマンドに寄りました、穏やかな空間でした。

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ショップ情報 | 株式会社アマンド

 

上で言及した、そして瀬戸かずやさんも出演されていた作品の感想はこちらです。