先日よみうり大手町ホールで「BORN 2 DIE」を観ました。
思い立って当日券チャレンジを決意し、抽選でいちばん最後の枠を取れた。というのも整理券の数字が番号順ではなく、外れたかと失意の中で帰ろうとしたら最後に番号があったので。
その後の購入時も、切り取り部分の端に鉛筆で数字が書かれたチケットを受け取りました。当日券の管理がしっかりしていた。
ふぉ〜ゆ〜4人の主演作品は、過去にSHOW BOYの初演と厨房男子2を観ています。
今回は通してひたすらにアングラと露悪でした。休憩なし100分が濃密だった。
舞台だからこそ、円盤や配信も含め映像にしないからこそ作れるラインを意識した意図的な尖り方だと感じました。
会場の受付前に「本日はカメラが入っています」という掲示があったけど、今後ダイジェスト動画が上がるんだろうか。どの場面が使われるんだろう。
コンプレックスから衝動的にコンビニ強盗を起こす、呼ばれた警官は保身と怠惰から穏便に済まそうとする、彼女がコンビニの夕勤を終える時間に迎えに行くと約束をしていたのに明け方まで浮気。
ひとつひとつの悪意が事態を悪化させていく様に、貫井徳郎の『乱反射』を思い出しました。
中でもいちばん印象に残った場面はやっぱり”Yes,You die.”です。どんでん返しと演技にぞっとした。
そして雄大とYou dieがかかる日が来るとは。
怖かったといえば、コンビニで事件が起きていたときの辰巳雄大、あるいは少年がヘッドホンで「あなたは大丈夫。あなたは強いわ」といった語りかけを聞いていた場面も。
こちらはリアルに怖かった。日常で感じる辛さやコンプレックスにそうやって対処することは実際あるよねと思いつつ、聞き入る彼の表情には健全な範囲を越えた歪みがあったので。
1998年出版の原作漫画を再現した描写が続いた中、ここは現代に通じる危うさを感じました。
また序盤の「ドッキリグランプリ見直して〜、覚える台本もあるからァ〜」から、漫画の世界の中の彼らが持つ負の感情と(B2D作中でメタに設定されている)現実の4人のわだかまりがぶつかる展開もあるかと身構えていました。
(あくまで本人役の「辰巳雄大」が非日常に目覚める過程が描かれる物語です)
本人役でグループ内に溝を作るような台詞を入れたこと、かつそれを厨房男子カンパニーがに驚いたものの、踏み切ったふぉ〜ゆ〜の底力を実感。
カーテンコールで礼のたび切り替わる青い照明が怖かった。最後の最後まで「あなたの生きている現実は本物ですか?」と突きつけられたようで。
越岡さんのお辞儀が綺麗でした。「インチキボンボンアイドル」(生田斗真さんか考案した彼のキャッチフレーズ)の奥にある、たしかな育ちの良さと人柄の真っ直ぐさを感じました。
ここまで、作品の感想です。
最後に。
当日券で入った席の隣が関係者の方でしたが(パスを提げていた、着席前にスタッフさんと親しげにしていた等から判断しました)上演中のスマホ確認はやめてください。
私、その方、通路の並びで、できる限り通路側に体と画面を向けていたのは伝わりました。手拍子にも参加していて、退屈だからと画面を確認しているわけではないことも。
それでも、この内容で締めなくてはならない程この作品に関する記憶にノイズが入ってしまった。
COCOAの普及で観劇中のスマートフォンは電源をオンにしたままサイレントモードが主流になりましたが、良し悪しかもしれない。
この作品に限らず、関係者として舞台へ来られる方へ。あなたの隣に、正規料金で観ている人がいます。
よろしくお願いします。