震えてるのは君のほう

You’re Dream Maker.

マタ・ハリ再演6/27感想

もうひと月ほど前、東京建物ブリリアホールにて東京前楽の「マタ・ハリ」を観ました。再演でしたが、個人的には初見での感想です。

キャストは次の通り。(敬称略)

マタハリ:柚希礼音

ラドゥー:加藤和樹

アルマン:三浦涼介

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画像の公演に行きました。劇場内の電子看板前は混み合っていたので、これは席にあった東京公演配信のちらし。

公演2ヶ月前に友人と通話してキャストスケジュールと向き合いつつ、どうしてもこの3人の組み合わせで強さとぎらつきのある「マタ・ハリ」を観たい!と主張して選んだ日程です。

そうして申し込んで当選していたものの、手続きを誤ってキャンセル扱いとなっていたので当日の開場2時間前から奔走しました。

連れと連番予定だった席は離れたものの、2人それぞれチケットを確保できて本当によかった。その節はお手数をかけました。(私信)

紛失を避けるため当日か前日に発券する派ですが、最寄り駅前のコンビニで発券しようとしたのでどうにか間に合いました。池袋に着いてから発覚ではなかったのが不幸中の幸い。

東宝リザーブでの当選後手続き、気をつけます。クレジットの自動決済は!されない!

配信しているからと自宅に戻ることも頭をよぎったけど、キャスト陣の発声や生の楽器隊の迫力も含めて生で観てよかったと感じた舞台です。

 

開場後には席で気になったこと、帰宅後は総括をツイートしていました。

幕間や規制退場の待ち時間にはTwitterせず、持参の小さい手帳にひたすらメモを書く派です。

必ず毎回そうしてるわけじゃないけど、幕間に電源入れたら友人の「彼氏とケンカした〜」みたいなLINEの通知が来てて没入感を削がれたことがあったので。普段はいいんだけどね。

 

総括の通り、作品VS観客の戦いに完全敗北でした。幕間の時点で情報量酔いだった。

格闘ゲームで負けるときの1hit!2hit!3hit!KNOCK OUT!のような感じ。

先述したBACKBEATビートルズ結成秘話)を観たときも思ったけど、石丸さちこさんの作る舞台は原作あるいは史実の時点で濃い題材へさらに演出の足し算を重ねたパワフルさがある。そう、豚骨ラーメンにパクチーを乗せたように……(自分でも無茶苦茶な例えだと思いつつ、本当に感じたので書いておきます。※パクチー好きです。)

 

キャスト3人の感想について。

まずは柚希礼音さん。さまざまなドレス姿が眼福でした。露出はありつつ、過剰なセクシーさは感じさせない堂々としたボディライン。

腰の高さと、肋骨ってこんな風に出るんだ!?と思ったことが印象的です。いわゆる鳩胸が骨格ストレートの特徴というのは知識として知っていたけど、自分の身体以外のことはこんなに知らないんだと改めて実感しました。

そしてカーテンコールでの第一声「皆さま、本日は誠にありがとうございました」の瞬間、ブリリアホールが宝塚劇場になった。

かつて男役だったことは全く感じさせずにマタ・ハリを演じ切っていた中、ラストシーン後のご挨拶で彼女がかつて宝塚トップスターだったと思い出させられました。

 

次に加藤和樹さん、彼はとにかく「試合に勝って勝負に負ける男」が似合う!

アルマンの安否を知ろうと夜中に尋ねてきたマタハリに迫る場面は特に激情を感じたのに、大佐が既婚者と知らなかったので直後に突然出てきた別の女性への驚きに気が向いてしまったことが勿体なかった。

その後に「政府高官の娘と結婚し〜」といった台詞が出てくるまで、ただの一夜の相手かと思っていた。既婚者であることを踏まえると、苦悩も激情も「最低」でまとめられてしまうことも事実なので余計に悩ましい。

カーテンコールの回数を重ねるうちに皆が思い思いに客席に手を振ったりする中で、彼は最後までラドゥーでいたのが印象的です。

胸元に手を当て頭を下げていた彼が、最後の最後のカーテンコールで手を拳にしていたのにぐっときました。

 

最後に三浦涼介さん。彼をきちんと見るのは初めてでした。前知識も、代表作が仮面ライダーオーズのアンクということだけ。

オーズについてはとにかく名作だというのを各方面から聞いているものの、人間の欲望というものと真正面から向き合うのが精神的にきつい、という理由で見られなさそう。

作品の中で結果的に人の欲の悲喜が表れるようなものは好きなんだけど(それこそ今回の「マタ・ハリ」にもそうした面があったように)。悲しい。

良い意味で危なっかしいというか、顔立ちの彫りの深さと手足の長さと高めの声のバランスで存在が危うく見える方でした。目をそらしたくなってしまうような。

オーズを見ていた友人にとっては「(三浦涼介さんが)普通の人間を演じているのが印象的だった」とのこと。

個人的には林遣都さん、上田竜也さんと同じライン上にいると感じました。乱暴に言ってしまえば「不気味の谷」を越えるような越えないような、危うげな括り。

マリオネットを手に、裏声でおどけていた場面が印象に残っています。また中尉として部下を励ます場面も、それまでの危うさをほのかに残しつつ力強さがあってどきっとした。

 

好きだった曲は、ドイツのレセプションパーティでの歌。音の区切りを強調したメロディや歌い方が好みな上に、「真実と嘘はうらはら 惑わされるな」の歌詞に情報錯綜する現代と通じるものを感じた。

特に新しいウイルスとワクチンについてどう捉えるか、正解のない問いに悩んでいる中「自分で選べ」の歌詞が胸に刺さりました。

 

そして「マタ・ハリ」から感じた「ミュージカルと音楽劇、ストレートプレイ」について。

「客席はどう?」

「大入り満員です」

「批評家は?」

「ヨーロッパ中の新聞が来ております!」

序盤と中盤、ラストシーンでの「絶世の美女であり世界的に有名な踊り子」である彼女を象徴するやり取り。

処刑の場さえも自らのステージかのように、誇りを持って臨む姿と映りました。

また上のやり取りからマタ・ハリが歌いあげて処刑の場へ、というラストシーンの流れに「ミュージカルの文法」を感じた。これがストレートプレイであれば銃声で締めるんだろうか、と。

場面転換や余白、間の作りに関する感じ方は観客各々がどういった舞台を通ってきたかによって変わるのかもしれない。

 

感想というわりに脱線が多くなってしまった、ありがとうございました。

surfcitybabies.hatenadiary.jp