震えてるのは君のほう

You’re Dream Maker.

音楽劇「ダ・ポンテ」プレビュー公演の感想

音楽劇「ダ・ポンテ モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才」プレビュー公演のイープラス貸切に行ってきました。6/24の夜公演。

今回はスマチケで発券の手間もなく、入場も幕間の出入りも楽だった!舞台のデジチケ化ももっと進めばいいな。

宝塚の貸切レポで目にするプラみちゃんを目の当たりにして感無量になりました。

北千住にてはじめてのシアター1010。これは前方ブロック内の列が当たったな〜と思っていたら、劇場内では後ろから数えた方が早い列だった小さめの規模感でした。

そして後方席だったこともあって、「フィガロの結婚」が大好評だった場面で響いた拍手の音響演出が爆音すぎた。斜め前でとっさに耳を覆っていた方もいたくらい。(アンケートで伝えたほうがいいのかなと思ったもののQRを控えそびれてしまったので書けていません)

 

2月に近いテーマでやっていた「音楽劇『逃げろ!』~モーツァルトの台本作者 ロレンツォ・ダ・ポンテ~」は未見での感想です。

ミュージカル「マドモアゼル・モーツァルト」は観ていたので、モーツァルト周辺のイメージはそちらの影響が強い状態でした。

ネクスト・トゥ・ノーマル」のゲイブで鬼気迫っていた海宝直人さんとテニミュの印象もありつつ直近だと「蜘蛛女のキス」で観ていた相葉裕樹さん、「天国の本屋」のとき初舞台とは思えなかった井上小百合ちゃんだ〜!大集合すぎる!と先行でチケットを取っていました。

その後「キングアーサー」で平間壮一さんも観たので、結果的にメインキャストの皆さんにワクワクを抱いた状態で臨んでいます。

 

人物相関図まわりをちゃんと見ないで行ったのもあり、意外なキャスティングの連続でした。何も知らない状態で「役者さんと役名の名前を線で結べ」が出ていたら全然正解できなかった自信がある。

と思っていたら、演出の青木豪さんも近いことを言っていました。

海宝さんがダークヒーローとか、平間さんは底抜けに明るい天才とか、キャストの皆様誰もが、割にこれまであまり演じてなかったタイプの役になると思う。

音楽劇『ダ・ポンテ~モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才~』

個人的な感覚だと、平間さんがサリエリで相葉さんがモーツァルトのイメージでした。観たものはすごくよかったんだけど、あくまで自分がこれまで観たものからの個人的な印象として。

小百合ちゃんも、今回の女性の役の中だとダ・ポンテの義理の母ことオルソラをやっていそうなイメージでした。普段は爽やかナチュラル系の雰囲気で目にすることが多いので、こんなにゴージャスな姿で観るのは初めてだった!

 

冒頭のニューヨークの歌で、あとアンサンブルの方が活躍する舞台特有の華やかさに宝塚らしさを感じました。もしかしたら私は「花売りの女性」と「新聞売りの男性」が出ると宝塚を思い出すのかもしれない。

「言葉の媚薬垂らせば〜」を歌うダ・ポンテの姿に、これは橋本良亮さんがこの役を演じていたのもわかるなあとしみじみしました。この観劇後に「逃げろ!」のダイジェスト映像を見てみたら同じテーマでも作品の雰囲気はだいぶ違っていたんだけど、口の上手さで老若男女をたらし込むって要素に素の橋本良亮さんと通ずるものを感じています。

 

作品全体の中で、現代風の言葉使いが行きすぎて俗な台詞回しに感じられるところが何度かあってちょっと笑ってしまった。

特にそう思ったのが、序盤にあったモーツァルト父の「パパもすっごく我慢してる」と、ダ・ポンテが宮廷を追われる場面での「来シーズンの契約〜」かな?「今シーズンの〜」だったかもしれない、急に野球の話みたいになったのが可笑しかった。

改めてそのときの気持ちを分析すると、全体的には現代の言葉を使いつつ貴族の台詞には貴族らしさを出して欲しかった!という思い(わがまま)があったと思います。負の感情を抱くほどではなかったものの、気にはなりました。

 

海宝さんの歌が好きで、特に1人で歌うときの音の抜け方?伸ばし方?にぐっとくる瞬間が度々あってその瞬間を追いながら聴いていました。これが1/fゆらぎなのか。

I'm Alive

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  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

リトル・マーメイドも観に行きたい!曲がもうApple Musicにあるので聴いています。

まだ見ぬ世界へ/日本語版

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  • provided courtesy of iTunes

あとは双眼鏡で海宝さんの頬のほくろをつい見てしまった。自分もほとんど同じ位置にほくろがあって、海宝さんが「自分のチャームポイントだから写真で修正されていたら戻して貰う」のように言っていたことから愛着がわいたので。(アテプリ1/11公演のレポより)

でも改めて写真を確認したら海宝さんの頬のほくろって横に2つ並んでるんですね。安易に同じ位置って言っていいのかわからなくなってきた。(私は鼻筋に1つと頬に1つ)

そして画像検索でたくさん写真を見てみたらときどき関ジャニ∞の村上さんに似てるな〜と思う画像がありました。表情によっては似ている!垂れ目の優しげな感じとか。

 

1幕の終盤に頭上から「あなたは地獄に堕ちるわよ」の声が響いて打ちひしがれるダ・ポンテを観て(マドモアゼル・モーツァルトの1幕終わりと似てるけど、モーツァルトでもないし性別も偽ってないのに何で地獄に堕ちるんだ)と思いながら休憩を迎えました。

その後2幕に入った瞬間、売れてあからさまに派手でギラギラした服装になっていたダ・ポンテが愛おしかったです。1幕での髪をおろしているビジュアルもよかったんだけど。

父が金にあかせて迎えた若き後妻、姉弟ほどしか年の差がないオルソラと惹かれ合いつつ敬虔なクリスチャンである彼女に拒まれた場面の回想では「地獄に堕ちるわよ」での謎が解けつつ(義理の母に失恋からのプレイボーイって源氏物語と同じだ)とはっとしました。

事実は小説より奇なりなのか、あるいは実はフィクションとノンフィクションを問わずよくある話なのか。あの瞬間、ダ・ポンテが光源氏に見えました。

 

平間さんの演じる愛妻家で良い意味で軽薄で可愛らしいモーツァルトが好きです。「キングアーサー」で感じた平間さんは薄幸の人という印象が塗り替えられるくらいのパワーがありました。咳き込む姿にわずかに薄幸があったくらい。「魔笛」の制作シーンでのパパパも可愛かった〜!

イープラス貸切の特別カーテンコールで皆が「プラス」を作るイープラスポーズを取る中、平間さんがひとりEを表現していたのが微笑ましかったです。貸切公演のみカーテンコールの撮影NGだったので、写真はなし。

ヨーゼフ二世とモーツァルトの関係には「サンソン ールイ16世の首を刎ねた男ー」でのルイ16世とサンソンの間にあった絆と通ずるものを感じました。

コンスタンツェが頼りない描写はありつつも「守ってあげる」とモーツァルトより一枚上手というか主導権を握る側として表現されていたのが新鮮でした。自分の中のコンスタンツェの基準が「マドモアゼル・モーツァルト」での華ちゃんなので、そことの違いが大きく感じました。まっすぐな強さと包容力があって、ずっと可愛らしかった。青野紗穂さん、これから注目いたします。

サリエリも「マドモアゼル・モーツァルト」の平方元基さんで観ていた印象とはかなり違っていました。天才モーツァルトの作品に揺さぶられる旧体制・貴族主義の象徴みたいなイメージをサリエリ先生に対して持っていたんだけど、相葉さんが演じていたのは(「指は大丈夫ですか」とやり込められた場面はあれど)堂々と使命に燃えたサリエリ先生でした。基本的にどの場面でも声が大きくて堂々としていた。

 

ひとり野心だけを抱え各国を渡ったダ・ポンテが(各国を渡ったのを背景に映した地図で表現していたのも凄かった)その後に平凡な幸せを掴み晩年まで貫き通していたことが素直によかったなと思います。

阿呆浪士」で観た、遊女と駆け落ちし農民として生きる道を選んだ元・赤穂浪士がラストに浪士らの処刑の報を聞き自宅でひとり切腹した場面に未だ納得いっていないことを実感。

やっぱり周囲を巻き込んで生き方を変えたのならそれを貫いてほしいとフィクションに対してであっても思うので、モーツァルトとの日々もあくまで思い出であると穏やかに振り返る姿にほっとしました。

そして晩年の彼がモーツァルトとの回想に浸る場面、このままラストまでアンサンブルの方がやるの?と思ってから老ダ・ポンテを演じる彼が海宝さんなんだと気が付きました。びっくりした!

例えばこれがキャスト総勢10名みたいな作品だったらすぐに思い至ったかもしれない。でもどちらにしても、分からないほどに海宝さんの演技が上手いということなんだと思います。

 

終演後は劇場があるマルイの飲食店がひと通り閉まっていたし、メトロ北千住駅前の銀座ライオンは飛び込みだと入れなかったので千住を離れました。結局、乗り換え駅で猪肉のボロネーゼを食べて帰った。

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また千住に行く機会と時間の余裕があれば「葡萄酒亭 ろばす」さんに行ってみたいです。

 

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