震えてるのは君のほう

You’re Dream Maker.

ミュージカル「マリー・キュリー」感想

天王洲銀河劇場にて「マリー・キュリー」3月25日の夜公演を観てきました。

愛希さんに能條さんに屋良さん、「HOPE」(2021年10月に公演された新納慎也さん演出作品。配信で見ました)で知って気になっていた清水くるみさん出演ということでチケットを取っていました。

それと全体的に歴史もの、というか実話がベースにある話が好きなので。期間中に好評を聞き、期待が高まった中での観劇でした。

マリー・キュリーについての知識は、子供の頃に伝記で読んだなあという程度でした。なぜか「研究にのめり込んでろくに食事もとらず、数日間さくらんぼを少し食べただけのときもあった」というエピソードがあったのを覚えています。

どこまでが史実でどこから創作かわからない状態で観ていました。

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老いたマリーのベッド上での回想から始まって「ザ・ドクター」を思い出した。銀河劇場の雰囲気が(ザ・ドクターを観た)PARCO劇場と似ているなと感じていたので余計に。

その後の列車のシーンで、周囲の乗客が静止したとき鳥肌が立ちました。その瞬間、舞台上がジオラマになったようだった。

大学でマリーを理解しなかった男性たち、歌声は全員男性に聞こえましたがあの中に女性キャストさんもいたんですね。後のシーンでピエールと結婚して研究に打ち込むマリーの場面で出てきた彼らを見ていたら女性キャストさんもいることに気付き、最後のカーテンコールでも「本当にこの皆さんだけで全編を演じていたとは」と驚きました。

劇中曲がおしゃれでどれも好きでしたが、大鍋を混ぜていた場面の曲が特に好きです。

 

愛希れいかさんの目の形が綺麗でした。まっすぐ正面を見つめたとき、黒目の下に少し白目が見える綺麗なアーモンド型。

ピエール・キュリーの台詞「失礼。私は独身主義者でね」を、彼との初対面を振り返って真似たときは声色に元男役の気配があってどきっとしました。

そしてアンヌちゃんの声が可愛かった!台詞も歌声も、清水くるみさんの声が好きだと実感しました。作中後半は無邪気で元気な姿がなく寂しかったものの、二幕の最後にまた明るい様子が戻ってきて嬉しかったです。

アンヌが工員みんなの名前をフルネームで順に呼ぶ場面では、記憶力が求められるな〜プロだなあと物語への没頭から外れてしみじみ見てしまった。

 

マウスたちがねずみの耳としっぽを外して工員の姿でマリーを睨んだとき、彼ら彼女らこそ自然とマウスの立場になっていたと気付いて背中が震えました。ただの兼ね役ではなく意味付けもされていたことに。

観る前後で見え方が変わったオフショットです。

 

屋良さん社長の「科学技術の発展のためには多少の犠牲はやむを得ん」って言動に対して、胸が痛むのにヒールとしての姿には胸がときめいて内心が忙しかった。彼が工員の命より優先して追っていたのが、利益ではなく(作中でマリーとピエールがあくまで人道を最優先とすること前提で大切にしていた)好奇心だったのがまた恐ろしかった。

グレーのアイシャドウに、襟元がぎらぎらしたシルバーのスーツ。屋良さんのイメージがミュージカル「りんご」での姿だったので余計にギャップが大きかったです。

歌って踊るスーパー社長タイムが何度かあって楽しかったんだけど、最後の登場シーンの締めで赤いライトを浴びて大爆発したのは何だったんだ!地震かと焦ったくらい。

→【3/26追記】他の方の感想や歴史の復習を踏まえて、最後の爆発音は後に放射能が原爆にも使われたことを示していると捉えました

社長秘書さんは(DAZZLEや梅棒のような)ダンスと演劇のコラボレーションにいる雰囲気の方だなあと思いつつ観ていました。

 

ラジウムの健康への悪影響を隠すために梅毒が死因とされた工員らの歌に「(恋愛と縁遠く仕事に打ち込んでいたのに)やりまくって死んだだなんて」とあって、いやそんな直接的な言葉使う!?と客席で一瞬固まってしまった。

しかもそのフレーズ、3回ありました。あえて数えたってわけでもないけど、2回目と3回目でそれぞれ(繰り返した!)と驚いたので。

 

ピエール・キュリー上山竜治さんはマリーへのスキンシップがいわゆる西洋的で、その様子がすんなり馴染んでいたのが印象的です。

能條愛未さんはマリーの娘を演じていたことはわかったものの、2役を演じていたことには最後まで気付けなかった!

そして工員リーダー(ライン長)さんの発声が綺麗で凛々しくて、愛希さんに加えてこの方も宝塚OGさんかも?と感じていました。公演後さっそく調べたらやっぱりそうだった!宇月颯さん。これから注目いたします。

 

出演者さんの過去出演作の感想もどうぞ。

清水くるみさん

能條愛未さん

屋良朝幸さん

 

感想の序盤で言及した「ザ・ドクター」の感想はこちら。