震えてるのは君のほう

You’re Dream Maker.

舞台「ザ・ドクター」感想

11月20日夜、PARCO劇場で観た舞台「ザ・ドクター」の感想。

キャスト陣に「阿呆浪士」で知った宮崎秋人さんと「OSLO」の益岡徹さんがいる、主演の大竹しのぶさんは最近アマプラで観た「後妻業の女」と「黒い家」の印象が強くてなんだか緊張。というイメージでした。

そんなキャスト陣と題材に加え、演出:栗山民也さんというところに惹かれて取ったチケットです。

栗山さんの演出が大好き!という気持ちとは少し違うものの、観るたび毎回どこか感じる「栗山演出らしさ」を探してしまう。

ディベートが始まりモニターが降りてきた場面ではデスミュ(ミュージカルDEATH NOTE)で観たニュース映像の作り込みを連想しました。

舞台の縦軸を高く残して左右の切り分けと照明の色分けで場面を切り替える空間の使い方を振り返ると、それぞれの立場がありつつ立っているのは皆同じ高さというところにも意味があるのかな?と思います。

 

内容は長台詞に次ぐ長台詞、見終えてからどっと疲れました。

それでも「グループ分けなど不要、自分のアイデンティティは自分で選べる、と思えるのはどうしようもないことで苦しんだことがない恵まれた立場だから」というニュアンスの台詞が印象に残っています。

人種や宗教の差を意識することなく生活し、その他の面でもおよそ多数派に属して生活する自分の中にもアイデンティティは自分で選べるという気持ちがあったので。

ラスト近くで神父によって語られた「1人の人間の中には、ひとつの町のように多くの自分がいる。大切なのは(その時々で)どの自分に役割を任せるかということ」という考え方がヒントになると感じています。

またショッキングな1幕の幕切れから一転、幕間後はエリザベス研究所の面々が登場しなかったことにカーテンコールで気付きました。

現実でも一度離れるとあっさり分断し分断されることはあると漠然と感じているため、これがリアルなのかもしれない。

 

内容以外の部分で印象深かったのは、益岡徹さんの一人二役

今ここに少女の父が来ています、という場面で登場した瞬間に客席から息を飲む音が聞こえた。ただ話し出したら声色などしっかり違っていて、別人でした。

ここが一人二役というのは公式HPの人物相関図を見て把握していたんだけど、もし神父が本当は彼女の父だったとなると話の風向きが大幅に変わってしまうので驚く気持ちもわかる。

また2幕の序盤で独白中の大竹しのぶさんと目が合ってる!という瞬間がありました。

咄嗟に以前バズっていた「演者と目が合ったと感じるときは大抵本当に合ってます」を思い出した動揺でその間の台詞が何もわからなかった。貴重な体験をさせていただきました。

 

オリジナルドリンクがあったのも嬉しかった!休憩でフルーラ・フランスを頼みました。

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はてなブログにドリンクメニューの写真を貼ると細かい文字が潰れてしまったので、ツイートを埋め込みました。

Twitterから飛ぶと画像を拡大して詳しく読めます。説明も凝っていたので。

公演オリジナルドリンクは舞台そのものの再開から一歩進んで、ドリンクカウンターも復活したからこそできること。感慨深かったです。