震えてるのは君のほう

アイドルと舞台 A.B.C-Z

舞台「BACKBEAT」感想

6月1日夜公演、池袋芸術劇場で観てきました。The Beatlesについては父の勧めで赤と青盤の曲を聴いたことがある程度だったけど、しっかり楽しめた。楽しむ舞台だったかというとまた別かもしれないけど。好きな曲はイエローサブマリンです(出てこない)。

前情報ではA.B.C-Z戸塚さんとふぉ~ゆ~辰巳雄大さん、加藤和樹さんの3人がメインという印象だったけど、実際に観ると戸塚スチュアートと加藤ジョンのW主演に感じられた。

このあとは内容にしっかり触れます。

f:id:senyaitiya:20190602001707j:image

初めてベースを触ったスチュに向けてジョンが歌う歌詞が日本語で、通しでこの路線だったらどうしようかと思った。以降は原曲でほっとしました。あと1幕序盤はビートルズ5人が白ブリーフ1枚で女性ネタにわいわいする姿や、ジョンのブラックジョークと強引なリーダー性に「おそ松さん」を感じたりしていた。1幕の序盤だけ。同じ布団に倒れ込むとことか。

あと他作品に例えるならキングオブプリズム、女性の歓声の効果音が何度も使われてたので。客席でも拍手はできたけど、声援も上げたかったな。バックビートの応援上演に行きたい。

 

ここからメインの人物とその役者さんたちについて。

まずスチュアート、戸塚さんの良いところも悪いところも詰まった役だった。もはや当て書きなのか、こういうのを当たり役というのか。スチュアートを通して、戸塚祥太はいつかアイドル業が彼の重んじる芸術と生活を外れたときに表舞台を離れることを選ぶんじゃないか、と少し泣いてしまった。

食欲抑制剤とスピードの場面、「ドラッグ、◯◯◯、ロックンロール」みたいな言葉で出てきたときと違った重みがあった(アルファベット3文字ぜんぶ伏せ字にするし、例のシーンはずっと演奏するジョージに目線をおいてた。コインロッカー・ベイビーズのときはキスシーンやベッドシーンも全然気にならなかったので、演技や筋の違いの他に普段のアイドルな姿をどれだけ知ってるかが重要なのかもしれない。改めてコイベビ再演が入り口だったことに偶然を感じる。ファンとして目にしていたらどんな気持ちだったんだろう。)

薬の描写で芸術関係のハードな職業や創作に関わる人物が使用していた、というニュースがいくつか頭をよぎった。そういう仕事をしていても一切使用しない人々が多数であることを前提に、誰も幸福にしないはずの薬の使用に走らせる一端には(毎晩の無理なスケジュールの演奏とか)エンタメの周辺や受け手側の無理解がないか?と不安になる。

アストリッドの夏子さん、平坦な台詞で大仰な表現の多いスチュとジョンとのバランスを取っているんだろうか。と思った。バンドは相対性理論とか通ってるので、もともとそういう感情を込めすぎないのが好みなんだけど。(そう思ってたらビートルズよりやくしまるえつこを聞きたくなって今流している)あとアストリッド自身が2幕後半で感情をあらわにする場面との対比かもしれない。

演技とは関係ないけど「廃業した遊園地で写真を撮りましょう」の台詞では、廃遊園地っていつの時代も人を惹きつけるモチーフなのかと思った。けものフレンズとか。

遊園地がロックンロールなイメージとは違っていても、だからこそポールの売り込みが成功した。低俗な音楽と思って避けていた人々との架け橋になった写真。

それにしてもアストリッドとスチュはハンブルグからリヴァプールにかけては音楽より恋愛を取っていたのに、ハンブルグに戻ると芸術を追って心身を壊していて業が深い、と思う。特にアストリッドはバンドを勧めるのか絵を勧めるのかはっきりしてくれ!と感じた。

スチュアートにとってハンブルグリヴァプール、グループの一員たるミュージシャンと芸術家でアストリッドの恋人、それぞれの場所と立場が対になっていて、「どちらも俺」で、芸術に必要な光はいつだってここではない場所に射すのかもしれない。いわゆる隣の芝生かなと思ったけど、そんなに単純ではなかったからこの悲劇が生まれたんだろうな。

私は単純にスチュが絵描きの道を選んでからの髪型と服装が好みではなかったので、ミュージシャン姿の場面が好きです。

赤い胸元のあいたシャツはあんなに似合ってたのに、ゆるくて首の詰まった黒の上下で垢抜けなくなってしまった。絵の具の汚れが目立たない格好かな、とか思ったんだけど。アイドル戸塚さんが華やかな服装の似合う人でよかった。

あと2幕の「プレゼントがあるの」と「サプライズよ」って台詞で二度とも(子供が出来たんじゃないか)と身構えてしまった。コインロッカー・ベイビーズにおいて、妻の妊娠が歌手ハシの狂気を深める決定的なきっかけになっていたので。しかしスチュはサプライズ嫌いと言いながらプロポーズは思いっきりそれだったな。薬の袋から指輪が出てくるのはちょっと。

プロポーズ前のお医者様のシーン、「人生は長い。焦ることはありません」を自分に言われたように感じてしまった。人生は長いかもしれないけど今不安なのは変わらないよね、とスチュに語りかけたくなった。

スチュアートがアストリッドに暴力を振るう場面は直視できなかったんだけど、(写真の仕事だってのは)どこで誰とでも居られる便利な言い訳だな、というのはかつて自分がファンの彼女を奪った焼きが回ったな、罪悪感由来の不安なんだろうな、と少し溜飲が下がった。浮気はだめとはいえ暴力がいちばんだめなんだけど。ミュージシャンに浮気されたり交際相手を奪われた過去をもつ人が知らずに観に来て傷をえぐられていないか、勝手に心配になる。

そしてジョンの加藤和樹さん。テニミュの初代跡部様を妹と円盤で見た印象が強かったけど、今回はより露悪で野性的なカリスマ性を発揮していた印象です。幕間で近くにいた女性が「やっぱり加藤さんはワイルドで野良犬と言われるような役がハマる」みたいなことを話していたのを聞いた。ジョンからスチュへの執着と愛憎、BL(作品におけるある種の定形な設定と流れ)だった…としか言えないな。あと鼻が高くて顔が濃い!

ラストシーン、ああジョンを三途の川に迎えに来るのはスチュアートなんだな、と思った。

先ほど近くにいた女性が〜と書いたけど女性が9割以上の印象で、ロビーでビートルズのファンと思われるおじさまが心細そうにしていた。あと心なしかジョージ辰巳さんが数ヶ月前に出ていた「トリッパー遊園地」を観たときより世代が高めな気がしたんだけど、役者さんファンの他に当時日本でビートルズを追っかけていた女性が来ていたりしたんだろうか。トリッパー遊園地でも舞台が戦時中だったからそれでかな、って雰囲気な老夫婦の方など目にしていたんだけど。

次にジョージ辰巳雄大さん。その3月の出演舞台で情はあれど堅物な青年を演じていたから、ビートルズの末っ子として無邪気に笑う17才の姿に泣けてしまった。前作で共演した純名里沙さんと榎木孝明さんからお花もいただいていました。

f:id:senyaitiya:20190602001253j:image

歌も聞けて嬉しい。メンバー皆一度は歌う場面があったの楽しかったな。黄色いシャツを着てた場面で(メンバーカラーだ…)と思ってしまった。

戸塚さんはカラーがピンクだからたぶん何も関係ないんだけどね。スチュは強いて言えばアストリッドに着せられたジャケットがサーモンピンクだったけど、アイドル性の象徴たるメンバーカラーを作中でメタ的に使うとして、いくらなんでもヒロインが与える服には持ってこないと思うからやっぱり関係なさそう。それをするのが石丸さち子さんです、とかだったら逆にファンになるかもしれない。

今回かなりの頻度で、特に演奏シーンで辰巳ジョージを双眼鏡で追ってたから辰巳さんのファンになったんだなあと実感させられた。スポットのあたっていたスチュアートとジョン、アストリッドに比べて負の面が見えなかったからか、あと役柄の影響もある気がするのでふぉ~ゆ~辰巳担と言い切るにはまだちょっと早い。次回の出演作SHOW BOYもチケット取ってます、ここで本格的に落ちそうな予感がする。

そしてポール・マッカートニー役のJUONさん。今回初めて目にしたと思ったら本職ミュージシャンでした。役者さんかと思うくらい演技が自然だった。人間味と純粋な芸術への志向が同居しているジョンとスチュに比べて、人間味のより強い(ビートルズのエゴを負う)役割というか。プロでミュージシャンをしているからこそ「演奏が上手いやつがやったほうがいい」とか「全然似てないのに同じ目線で音を作れるやつと出会えた」みたいな台詞が自然というか生々しく感じられたのかな。

ピート役の上口耕平さんは、とにかく渋くて格好良かった。辰巳さんと似てない?髪型を寄せてる補正ありとはいえ、演奏シーンまでどちらが辰巳さんか双眼鏡で見比べて迷ったくらい。(辰巳さんがギターを弾くってことは把握していた。)辰巳さんが10年後くらいにこういうふうにかっこよくなるのかな、と思って上口さんの年齢を調べてみたら1985年生まれでした。辰巳さんが1986年で、1才しか変わらなかった。

仲間を見下している独白シーンからのドラマー変更宣告、演奏がどうというより人間性をメンバーに見透かされてたんだろうな、と思った。だからエディに言わせたんだろうな、と。史実はわからないけど、BACKBEATの物語として。リンゴ・スターはレコードデビュー後に変わったメンバーのイメージを漠然と持ってたから、ピートの退場まで描かれたことに驚いた。

そして新メンバーとして登場したリンゴ・スター、どう見てもアストリッドの元恋人クラウスで超びっくりした。いや恋人を取られてからもビートルズ観にきてる時点で心が強いな、それだけ彼らの音楽が好きなんだなと思っていたけど改名してミュージシャンとしてメンバーに!?と混乱してしまった。公式HPを確認したら、普通に一人二役だったので安心しました。

エディ役の鈴木壮麻さんも渋くて素敵だったな、声が良い。私の生瀬勝久さんファンの部分に刺さる。そういえばあの人の独白だけメタ視点だったの不思議だ…。終盤近かったからなのか…。

不思議といえば戸塚さんと辰巳さんがバックビートを通して仲良くなったエピソードがなかなか出てこないの、気になってたけど観たら納得できた。完全にスチュアートとジョンの世界が作られてたので。これは仕方ない。

3度目のカーテンコールでW主演の2人が出てきたとき、挨拶するのか少し話すのか、とわくわくしてたら仲の良さをただ見せつけられてしまった。可愛らしかったです。びーばっぱるーら!

本当は重視するのは結果より過程だ、みたいな台詞についても考えたかったんだけど、観劇中に思い浮かんだことを書きとめるだけでかなり疲れちゃった。とにかく濃い舞台でした!