「この唄を友に」を観ました。
昨年テニミュから知って「すずらん通りの青い鳥」で一層ファンになった原貴和さんの初主演作を、またミュージカル座さんで観ることができて二重に嬉しかった!
8月1日から5日の10公演のうち、8月1日と3日の昼夜+4日と5日の夜と計6公演に行っています。ちょうどダブルキャスト両チームを交互に3公演ずつだった。
感想(箇条書き)
いくつか単発でポストしていた内容も含みつつ、結末に触れすぎるからと投稿するタイミングを逃していた内容も足して大まかな時系列順で書きます。
- 2回目でヒロヤが最初に弾いてた曲がラストの「この唄を友に」だって気付いた!
- 「ハチ公も泣いちゃう」の泣き真似があざとい、そして序盤のヒロヤはほんとに世間を甘くみている(のが表現されてる)のも伝わってきた。
- 「わからせてやる」と「フリーターだから」のメロディと歌い方が好きで、「私たちのかわいい困ったちゃん♪」も大好きだった!
可愛いお姉さんとクールなお姉さんに挟まれる細くて頼りないけど憎めない男子、の図が眼福すぎた。 - 「アラサー飛び越えそう」ってどういうことだろう。アラサーに突入しそうともアラサーが終わりそうとも取れるけど、30代中盤って感じはしなかったから24歳くらいの設定かな。
- ヒロヤが雨の中で歌うシーンの歌声が忘れられない。ただでさえ?歌声に聞き入っていた中、舞台上で1人になってからディズニーのような曲調に変わったのもあってディズニープリンスに見えた。
- 桜子の台詞「ないものねだりは人間の特権だからね」に救われた。つい隣の芝生に気を取られる日々で更にそれを開き直りかけていたのを、思わぬ方向から肯定された気がして。
- 清掃バイトでの「磨こう 磨こう 床に月が映るまで」のフレーズが詩的で好き。
- ヒロヤがモップや兜など手に持ったものを掲げて笑顔で決めているときが板につきすぎていて、ラケットを持っていた頃の面影を感じていた。
- 最初のスタジオ練習での「親孝行したい時には墓の中」や「お通夜みたいになっちゃうよ?」で初見はくすっとしたけど、2回目以降からモッチの表情が曇るのがわかって目が離せなかった。
- 通してモッチがいいキャラだった!結婚したいタイプというか、大学のサークルで慕われているのが想像できるというか。
- 「証」の初見は「それぞれソロで歌うパートがあると二次元コンテンツのバンド曲っぽい」という印象だったのが、3日に観たとき急に歌詞がぐっと入ってきた。特にヒロヤとトモヒデが向かい合って歌っていた「全て価値のある足跡」で涙目になった。
- 「ギターを手に悩むのは メロディのことだけじゃない」で最後「なぁぁあい」と響くときのメロディと歌が特に好き。このとき後ろでメンバーの皆がスローモーションのお芝居をしてるのも見たくて忙しかった。
(3日の夜かな、ぱっと見たらヨッシーのベースを3人が持ってそれを返していたことがあった。どういう流れで奪ったのか今も少し気になっている。)
- ♭チームの椎名大家さんが怒りから回想に入って歌声ががらっと若々しくなるとき、「ハウルの動く城」でソフィが心の持ちようで若返るシーンを思い出していた。テニミュに絡めたアドリブのサービス精神もありがとうございました。
- ♯での大川さんによる大家さんは、3日のお昼かな?のアフタートークイベントで「最後にスペイン語で『私の最愛のひと』と言っている」と聞いたのが印象的。まさかスペインで日本人どうし、白ワンピースの少女と元闘牛士のフラメンコダンサーとして出会っていた二人という設定だったとは。
- 初日の昼公演は幽霊が出るまでが長いと思ったけど、その後の夜公演からは感じなかった。初めて歩くルートが遠く感じるのと同じようなものかも。
- 「下校途中のクソガキめ〜!」のときユウがドロシー(ネコちゃん)の耳をふさいでいるように見えた!過保護で微笑ましい。
- カップルを追い出した後、皆でおばけの手の形でハイタッチしていたのがかわいかった。
- パンフレットで♭えりぽん役の中元未来さんがバトントワラーだと知ってから、骨でバトンをしている浮遊霊ちゃんに注目するようになっていた。凄かったです。
- 宅飲みの初見で誰がどの缶を持ってるか(何のお酒を飲む設定なのか)気になって双眼鏡で見たけど、別に決まってなかった!笑
- トモヒデの「知るか!脱げ脱げ〜!」が好きだった。この場面の彼はリーダーを頑張ってるでも悩みを抱え込むでもなく、特に等身大で楽しそうだったから。
- 宅飲みの場面の後で、ゴミ袋を持って捌ける浮遊霊もかわいかった。どこかの回で缶の残りを飲んでヒックヒックしながら捌けてたのもよかったな。
- 幽霊によるミュージシャンへの協力ってそういう具体的な指導なんだ、と驚いた。地縛霊の設定と知る前に、他のアーティストを推す業界人を心霊現象で脅すとかを漠然と想像していたので。これは前に読んだ漫画『ゴゴゴゴーゴーゴースト』の影響かも。
- 特にファンを増やしたい立場ではなくとも、SNSへのアドバイスは心に刺さった。私事ですが最近このブログで初めて案件のお話をいただいて準備中なので、公開した際にはしっかり告知しようと思っています。
- 「別にお前のためじゃないんだからな、勘違いするなよ」だったかな、お手本みたいなツンデレ台詞を目の前で聞けたことへの感動もあった。
- ユウ(織人さん)の高めの声や、プロ意識に裏打ちされた生意気キャラに誰かを思い出すな〜と思っていたのが公演期間の途中ではっきりした!三宅健さんだ。
- バンドのギターボーカルがソロでミュージシャンとして売れる、というのが実はそんなにピンときていなかった。それこそSNSきっかけで跳ねたのか、並行してソロ活動もしていたってことなのか。
- ヒロヤを見ていて、バンプの藤くんが最初1人でスカウトされたけど断ったってエピソードを思い出していた。そこは小学生のときから4人で親しかったからまた事情が違うとは思うけど。
- 後半は不仲・恫喝・死別・遺書と不穏シリアス続きで前半との落差がしんどい。
- モッチが辞めた後のスタジオでタケルが持ってた楽譜が劇中歌のものだった。「ながしたあせと」の歌詞が見えたから、バイトを辞めるときの曲だ。
- 大人になってから友人の家族の葬儀やお通夜って行くものなのか、と気になっている。そういうこともあるんだろうか。
- どこかの公演で、双眼鏡で見ていたヒロヤの目から涙が落ちるのが見えた。煙草を出しかける場面でどの銘柄か気になって注目していたので。トルコブルーにオレンジの模様が入った箱だったけど、そもそも箱のデザインを知っている銘柄が祖父の吸っていたピースだけだから分からなかった。
- 投資の資料とトモヒデの手紙が作り込まれていた。資料ではグラフと「キャピタル」の単語、手紙は何行かの手書きの文と「トモヒデ」の署名が見えた。
手紙が日本語で一瞬驚いたけど、テジュさんが韓国出身ってだけでトモヒデにそこのバックグラウンドはないんだったとすぐに冷静になった。 - 「ここにいるみんなで売れたい」にはユウも含まれていてユウがバンドのマネージャーになって仲良くやっていくかなとちらっと期待したけど、そうはいかなかったな。でも別れのシーンは切なくも明るくて、ユウが最後に見つけた思いやりや生きることの素晴らしさを自分でも大事にしようと自然に思えた。
- ユウが最後にアコギを鳴らして笑顔で去るとき、ヒロヤがステージ上にそのアコギもセッティングするとき毎回のように涙ぐんでいた。
- 爽やかなラストだったものの、タイトルロゴの楽譜通りのメロディで「この唄を友に」のフレーズがあるわけじゃなかった!という雑念はよぎった。今ピアノのアプリで人差し指で弾いてみて、ビジュアル重視で作られたロゴなんだと実感。
- 借金取りさんがカテコで借用書を破るのが好きだった。
- カーテンコールで桜子さんがハートの半分を作って桃代さんが親指を立てる流れをやっていたのを、4日から桃代さんもハートの手で返してハートが完成していた。2人でのハートは大千秋楽まで見られないと思っていたし、可奈子さんがたぶん素で動揺していたのも可愛かった♡
- 最後の最後でヒロヤとユウの礼が違うのがよかった!
感想(総括)
トモヒデの気持ちがわかる!あらすじを見ていた時は「成長」や「友情」に弱いからこの作品も好きになりそう〜と他人事のように思っていたのが、上手くいっている(ように見える)周囲に目をやってしまう自分にぐさぐさ刺さっていた。だからこそ、ラストで希望ももらえたと思う。
自分と違ったところでいうと、学生時代に軽音を(演劇も少し)やっていた分その年齢を超えても夢を追う人々の姿が辛かったり眩しかったりと胸にくるところがあった。今やっている仕事は大学の授業をきっかけに興味を持った分野だから、夢を諦めた等ではなく違う方向性のやりたいことを選んだとは胸を張って言えるんだけど。
とはいえ今回の作品を6回観ることができたのはカレンダー通りで時間の自由もきく(+収入も安定している)会社員だからという部分が大きいので、アウトプットを仕事にしていたらインプットがしづらくなる構造が世知辛い。
そしてヒロヤとユウがそれぞれぴったりの役だったのは大前提として、役を入れ替えたふたりも観てみたくなった。お互い逆もいけそうな気がする!アフタートークイベントで織人さんのギターが上手いエピソードを聞いたり、実際に千秋楽で生で弾いていたのを観て役替わりを観たい思いがより強くなった。歌や掛け合いの短い動画だけでも入れ替わりVer.が見られたら嬉しい、再集合の機会があった際にはご検討をお願いします。
最後に、原貴和さんの初主演作を見届けられてよかった。内容も最後の最後のサプライズから伝わってきたカンパニーのあたたかさも、本当に素敵な作品でした。
階段を駆け上がったり駆け下りるシーンも多かった中、誰も怪我なく全公演を終えられて本当に嬉しかった!
終わって数日の今はふとした瞬間に作中のいろいろな曲を思い出しては口ずさんでいるけど、これから日常に戻って思い出に変わっていくとわかっているのが少し寂しい。来月に配信がされたら、チケット完売で誘えなかった友人にも声をかけて観たいです。
ミュージカル座「この唄を友に」(配信) | ACTぴっと - 舞台エンタメ専門の情報発信ポータル
ブルーレイも予約しました、と言いたいところだけど、今は通常盤と豪華版がさらにダブルキャストごとに分かれていて計4種あるのをどう購入するかで迷っているところ。最後の手段は両チームの豪華版だと思いつつ、ゆっくり考えます。