震えてるのは君のほう

You’re Dream Maker.

ミュージカル「蜘蛛女のキス」感想

2021年12月4日、東京芸術劇場プレイハウスで舞台「蜘蛛女のキス」昼公演を観ました。

観劇から早くも数ヶ月経っての感想です。

雑誌「ミュージカル」の2021年ミュージカル・ベストテン企画にて、安蘭けいさんと石丸幹二さんがそれぞれ女優賞と男優賞の1位に選ばれたことを知ったので。

そして「蜘蛛女のキス」は同誌の作品部門3位。

良かったからなぁと感慨深く思い、書きかけたままだった感想への追記に至りました。記憶とメモを元に書き足しています。

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芸術劇場プレイハウスの席についたら、前回訪れた「BACKBEAT」の記憶もよみがえりました。箱のつくり自体に独特の雰囲気がある。

映画の思い出に浸って気を紛らわすシーンで、安蘭けいさんのショーをたくさん観られて贅沢だった!制作サイドの、とにかく安蘭けいさんの魅力を全方位から120%活かそうという意思を感じました。

宝塚時代を知らなくても、白燕尾の姿に「とうこさん……」となってしまった。

劇中劇が好きなので、繰り広げられる過去の出演作の回想が楽しかったです。舞台で映画を表現する上で、天井からかかっていた紗幕も、舞台奥の壁もスクリーンとして映像を映すのに使われていました。

ところで野暮だけど、刑務所の中ってあれくらいインテリアやっていいんだろうか。

 

ダブルキャスト相葉裕樹さんの回でした。

村井良大さんにも馴染みがあるものの、今作でバレンティン役をどちらで観たいかと考え相葉さんの出演回を選びました。モリーナとバレンティンの2人がより相反して見えて、対比を鮮やかに味わえそうと感じたので。

石丸幹二さんと村井良大さんは、どことなくお顔立ちや雰囲気が近しい気がします。柔らかくノーブルで、考え込みがちに見えるところが。

テニミュで不二先輩を演じていたことがある相葉裕樹さんも似た要素は持っているはずなんだけど、舞台上にいたのは粗野でまっすぐなバレンティンでした。

モリーナを後ろからハグして、「どうしてそんなことするの?」に「したいから」と答えた場面では胸が苦しくなりました。思惑を知っているのに、知っているからこそなのか胸がときめいてしまった。

これは相葉さんでも村井さんでも、役者さんのファンとして来ていたら心臓が危なかっただろうな。

 

序盤から漠然と(モリーナは絶望の果ての救済として蜘蛛女からのキスを受けるんだろう)と想像していましたが、実際には胸を張って選んだ結末でした。

バレンティンに騙された、利用された上での行動だったけれどもモリーナは堂々としていて、それが嬉しかった。自棄のようにも見えて、自棄だけではないことが表情や声色から伝わってきました。

「どうして貯金を全て渡すの」とうろたえながらも、息子の決断を受け入れざるを得なかったモリーナの母を見るのは辛かったけど。

(以前「阿呆浪士」を観たときから自分は「残された家族、女性」に感情移入しがちな傾向があるなと思っていましたが、先日前世占いに行ったら前世もその前も女性だったので少し腑に落ちました)

 

数週間後に「next to normal」の観劇を控えているので、また安蘭けいさんを観るのが楽しみです。