震えてるのは君のほう

アイドルと舞台 A.B.C-Z

トムとジェリーとカワイイ歌舞伎、多様性の中で生きること

先日「音楽劇 トムとジェリー 夢をもう一度」と、サンリオピューロランドで公演中の「カワイイ歌舞伎」を観てきました。

続けて観たことでふたつの共通点とその中の違いを感じたので、合わせて感想を書きます。

f:id:senyaitiya:20190921000333j:plain

 

まずは「トムとジェリー」の話。秋山大河さんと山下リオさんのコインロッカー・ベイビーズ組に惹かれてチケットを取った。東京公演の千秋楽、お疲れ様でした!

遠藤さんのトムと、山本亮太さんのジェリーの回でした。オーチャードホールでもう中学生さんの前説を見ることになるとは。

トムとジェリーの微笑ましい喧嘩がメインストーリーだけど、猫と鼠と犬の集団どうしの話でもあった。犬の集団はまとまりすぎて気持ちが悪い、いや鼠は身勝手だ、と争う場面とか。

それでも「たかが鼠じゃないか、何をそんなに庇うことがあるんだ」と言われた猫のヒロインは「それなら私たちだってたかが猫よ、みんなたかがの生き物よ」と言い放った。

犬たちのリーダーは、猫も鼠も集めて「皆で手を繋いで、違いを感じるんだ。気持ち悪いと思っていい。同じこの街で生きているんだから、違いを許し合おう。」と語りかけていた。

こう切り取ると泣けるいい話のように聞こえる。それ以外の部分ではブラックジョークも多くて、コメディとブラックとハートフルが混ざっていた印象です。

アフタートークで「ファミリーに来てほしい」って話題が出たけど、小学校高学年くらいからがぎりぎりだったと思う。ギャグアニメが元とはいえ「死」がやたら軽かったりしたので。

ここから役者さんの話。パンクなファッションのタイクが秋山さんの長身の体型や渋い声と合っていて格好良かった。

リオさんも声がとても響いていて、華やかな存在感のあるヒロインでした。オーケストラの生演奏があったのも共通点で、コインロッカー・ベイビーズが恋しい。

さらに今回は演奏も演出の一部だった。楽器隊の皆さんが動物の耳をつけていたり、作中のコントでファミマの入店音をオーケストラが演奏したり。EZ DO DANCEもあった。書きながら改めてどういうことかわからなくなる。

そして「桃山ビート・トライブ」で観て以来の山本亮太さんも、破天荒な藤次郎と一転してあざとく弱さのある役で可愛かった。

歌声も素敵でした。片言から一転して流暢に日本語で歌い出した場面はびっくりしたけど。

アフタートークの「毎公演の舞台裏で皆に『ぼく可愛い?』って聞いてまわっていた(そして周囲の返しが雑になる中で、遠藤さんは毎回きちんと答えていた)」ってエピソードは最高に微笑ましかった。

そのアフタートークで稲葉光さんが決していい香りではない(足が)とわかったのは知らないままでいたかった気もする。

 

続いて「カワイイ歌舞伎」。公演中なので一応ネタバレ注意です。ピューロランドの公演は期間が長い。

サンリオキャラクターたちの歌舞伎一座と、鬼の話。周囲に恐れられる鬼の青年が舞台で人を笑顔にしたいとキティ一座の「桃太郎」公演に紛れ込み、紆余曲折を経て一座の仲間になる。

一度は座を去った鬼の青年にキティ達が「私たちは確かに違っているけど、その違いは誰にも負けない個性よ」と説得します。「それに私たち、人を笑顔にしたいって気持ちが同じじゃない」とも。

 

 「トムとジェリー」と「カワイイ歌舞伎」は違う種類の生き物が共存することがテーマにあったけど、つながりの核が真逆だった。

前者は同じ街にいる以上それぞれのダメな部分を許し合って生きていこう、で、後者は個性ある仲間で同じ理想の元に集まる話。

子供向けの教育と大人向けのコメディ、理想と現実の違いだと思った。トムとジェリーはファミリー向けらしくないな、と感じたのはこういうことだったのかもしれない。

カワイイ歌舞伎で漠然と感じた「信念が同じでも、能力や個性がなければ集団で生きていけないのか」という不安に、先に観ていたトムとジェリーが「それは確かに理想だけど、決して全てじゃない」と答えてくれた気がした。

よくあるテーマだけど、だからこそ続けて観たときに違いが浮かび上がった。作品を超えて伏線が回収されたような気持ち。

 

共存やつながりといえば、数年前にはまっていた妖怪ウォッチのことも思い出した。アニメシリーズは日常のトラブルを起こす妖怪を「説得」して「ともだち」になる流れがお約束だったし、2年目の劇場版はそれこそ「妖怪と人間の絆」がテーマだったので。

こっちは「どう共存するか」とは少し違って「共存するかしないか」の話だけど。

劇場版第2弾!映画『映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』予告編 - YouTube

劇場版のラスト40分にあるエピソードで、アマゾンプライムにも入っているので気軽に見られます。エンマ大王がかっこいい!

集団どうしが許し合い混ざることは難しく、ポジティブなことだけではないけど。カワイイ歌舞伎と妖怪ウォッチは、自信を持っておすすめします。