シアタークリエで「SHOW BOY」を観てきました。
約2年ぶりに来たクリエ、完全入れ替えが早かった。終演後にアンケートを書き、お手洗いに行っている間に物販が終わっていました。
パンフレットとTシャツを逃してしまったので、お目当てがあるときは早めがおすすめです。
総括は何より、キービジュアルの衣装ぜんぜん着てなかった!特に越岡さん松崎さん辰巳さん。
あとは舞台が現代日本だったり、事前情報から漠然と想像していた印象をハイスピードで裏切られました。
1話から5話に区切られていたので、順に感想を書きます。
1話
秋山大河さんの「静かにしてくれます!!?こっちは寝てるんですよ!!」でもうだめだった。
あのタクシー運転手を演じていた人だ、と1年越しにコインロッカー・ベイビーズへの思いを突きつけられました。
支配人に乗り込まれて咄嗟に衣装掛けにアイロンをあてていた場面も好き。
福田さんと秋山さんは動きやダンスがコミカルで、伏線を張るにとどまらず「まだスポットライト諦めてないんでしょう!?」と物語の核心を突くやりとりも多かった。十分すぎる掴みでした。
福田さんに向けられた「そもそも顔がクールじゃないし」の台詞には驚いた。ふぉ〜ゆ〜の中ではさっぱりした顔だと思っていたので。
松崎さんと辰巳さんの彫りが深すぎるせいかな。クールというより優しげな顔って意味だったのかもしれない。それなら納得。
2話
越岡さん!好きだった!髭で顔の密度を上げて(?)落ち着いた赤茶のジャケットを着るとこんなに輝く人だったなんて。
衣装あるあるのモノトーンや原色な赤とは違ってなかなか見ない色の服装だから、普段と違う魅力があった。私の好きな越岡さんはここにあったのか!という感じ。
ギャンブラーという設定を聞いたときから負け続きかイカサマ師のどっちかだろうと予想していたけど、初めてのカジノだった。それはもう「初めてカジノに来てギャンブラーぶる人」じゃないか。しかも故郷の山まで売ってた。
「妹の結婚式のために」って台詞が最初に出たときは『走れメロス』から取った嘘かな?と思ったけど、そんなことはなかった。
そしてとにかくミサキちゃんとの会話が微笑ましかった。TRICK番外編の矢部謙三警部補と御手洗未来ちゃんのやりとりを思い出しながら見ていた。
だめなおじさんと利発な女の子のペアが好き。
観たのはWキャスト久家心さんの回でした。強気で流暢な台詞と年相応な弱気さの切り替えと物怖じしない演技で存在感が強かった。
いっしょにピアノを弾いてから、ペーパームーンに並んで腰掛けて歌ったところはぐっときて泣けてしまった。
その後に彼女が辰巳さんへ問いかけた「人生って変えられる?」は、行き場のない見習いマジシャンと母を失くした自分を重ねていたのかな。
明確に言葉にされなかったけど、彼女が人生は変えられるって確信できただろうと思えるラストシーンでほっとした。
3話
ポスターの衣装からアチョーッ!ってカンフーするわかりやすいチャイニーズマフィアをイメージしていたけど、全然違った。
ほんとに台詞が全編中国語だったから、歌詞で日本語が出てきたときにかえって違和感があったくらい。思いがけず子煩悩パパな姿まで見られたのも嬉しい。
手錠で繋がれた通訳さんと甲板を走り抜けた場面で、3話の「ごめん、何も聞こえなかった」「もういいよ!」の謎が解けたのが楽しかった。通訳のおじさまとのやりとりも、支配人と歌い踊る場面も好きだったな。
あの金髪と楽しそうな衣装とメイク、松崎さんだからこそ似合っていたし「と、その前に」を唯一ひとりで(中国語で)やったのも含めて、松崎さんが今回私の中に残した爪痕は深かったです。白塗りが映える顔!
4話
序盤から何人もに「伊勢丹の袋」と言われてた辰巳さん。ハンチングとチェックのベストに縁が太めの眼鏡、マジシャンというよりコメディアンの衣装に近かったかも。
エンジェルにあっさり好きと言われていたあたり、あっこれ彼女は主演ダンサーと付き合ってないな?と悟ってしまった。
1話の段階では、エンジェルは二股かけてるのかとうっすら疑っていたんだけど。(詳しいネタバレは避けていたものの、秋山大河に関するどんでん返しがあることは目にしていたので。)
「俺もう32だよ」、「向いてないまま続ける方が辛いのかな」って吐露に本人が経験してきたであろう悩みを重ねずにはいられなかった。
その前の場面でマジシャンを首になったことを全く認めてなかったので、気弱さが余計に刺さった。あの場面も、強がって意図的にとぼけてたんだったらどうしよう。
好きな台詞はエンジェルへの「もったいないことしようよ〜!」です。1話では不自然で怪しい台詞だったのが、4話でぐるっと意味が変わった。SHOW BOYの醍醐味そのものみたいな場面だった。
5話
神田沙也加さんの歌はやっぱりアナと雪の女王を連想した。彼女はどこか生身を感じさせない精巧さがあったというか、ひとり洋画の吹き替えみたいだった。もともと女性らしい印象の方だったけど、マニッシュな服装もすてき。
そして最後の4人の歌の一節で「30代でアイドル」とあったことで、1話や4話で感じた彼らの素のプレッシャーに再び向き合わされた。
役を離れた4人が多く務めたバックダンサーは、広義ではステージの裏方なんだろうか。
最後にSHOW MUST GO ONって言葉が何度も出てきたことについて。ジャニーさんのことと関係なく脚本が作られて公開されたことに、縁を感じます。
私たち観客にとってショーは非日常だけど、出演や制作の皆さんにとってはそちらが日常なんだよね。という当たり前のことに気付かされた。
観ていたときはどこか他人事だったけど、日常に戻ってから少しずつ、自分の生活を冷静にマストゴーオンしようって気持ちになりました。
というか、これを書いてて気付いたけど、4人も「LIFE IS SHOWTIME」って歌ってたんだった。三段論法の成立。
ときどき深呼吸して、ぱんと手を打って。私もあなたもそれぞれに、人生をマストゴーオンしましょう。