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オタクにとって大切なことはヴァンステが教えてくれた

六本木EXシアターで舞台「イケメンヴァンパイア〜偉人たちと恋の誘惑〜」(ヴァンステ)を観てきました。音楽劇コインロッカー・ベイビーズ以来な秋山さんと福士さんの役者姿。

10月のジャニーズ伝説にも出ていたんだけど、そのときの彼らは演技よりダンサーとしての印象が強かったので。

ヴァンステが教えてくれたオタクとして大切なことの話。クライマックス前、素性不明のナポレオンを疑っていた執事セバスチャンが彼を信じると決意する場面の台詞がオタクのお手本たった。

「私は今目の前で起きていること、自分で見て聞いて、感じたものを信じます」という言葉。

 

共に生活している仲間(ヴァンパイア達)が大切だからこそ、外から入ってきて日々を脅かすと感じたもの(ナポレオン)に不安が募ってしまった。この流れ、何かしらオタクをしていたら避けられないものだと思う。

フィクションの展開の定番といえるし(それこそシェイクスピアやアーサーコナンドイル、太宰治も書いている…と言いたかったけど該当する題材の作品が浮かばなかった、思いついたのはレヴュースタァライトとか)日常生活でも避けて通れないことだけど、オタクは特に(次元やジャンルを問わず)それが可視化されやすいと思う。

その後のクライマックスでは、中盤にあった「革命で多くの犠牲者を出したナポレオンは、殺人犯の切り裂きジャックと等しいのでは?」という問いに答えが出された。「犠牲にしてしまった兵士や民衆、現在自分を取り巻く人物に関心を払っているナポレオン」と「相手に興味を持たず自分の欲求で殺すジャックザリッパー」の違い。

劇中で問いかけがされたとき、自分では結論に至れずストーリーを追っていた。ナポレオンがヴァンパイア達の名を仲間の名として挙げていく場面ではっとしました。

でも現実ではどちらかが明確に悪となることは少なくて、どちらも間違っていないゆえに衝突するからこそ「目の前で起きていることを見て聞いて、感じたこと」の見極めが重要になるのでしょう。セバスチャンはオタクの鑑。

そんなセバスチャンが河合郁人に見えるって前評判を見かけてちょっと楽しみにしていたけど、河合担だからかあんまり感じなかったな。

でも個人的にはあのキャラを見て河合くんを連想する人がいるのが嬉しかったです。終演後に相互さんを誘ってお話したとき出た「セバスチャンは青木源太」もパワーワードだった。

 

原作では親愛を表に出さずヴァンパイアたちの行動を密かに記録していたということで、舞台映えするようにキャラの特徴が前に出されたのか、中の人に寄ったのか。

フィンセントとテオの兄弟も原作のストーリーより仲良しが強調されていたと聞きました。フィンセント兄さんの声、可愛かったな…。

全体的にコンビ押しが多かった中で、アーサーとアイザックが好きです。最初はアイちゃん呼びでアーサーはアイザックを女の子の代用とみたいに見ているのかな、と思っていたけど終盤でがらっと印象が変わった。伯爵の「君たちのような天才は…」って台詞に俯いたアイザックが自分の手元を見つめながら腑に落ちない表情をしていたのを、軽くのぞき込んだアーサーがふっと優しく笑ったので。通していちばん印象に残った場面かもしれない。アーサーはアイザックを理解して思いやっているんだ、とぐっときた。

2人がリンゴ用のナイフとペンで戦う場面もあったな、アイザックの「戦いにも重力は必要だからね」って台詞と共に敵を高いところから落とすところが好きだった。アーサーのキャラクターは「女の子好きで軽い」と「推理を披露する知的さと殺陣」のどちらの印象が残っているか人によって違っていそう。

軽薄に見えてもいざというとき頼れるアーサーと幼さゆえ頑なに振る舞うアイザックうたプリの寿嶺二と美風藍を重ねてしまう。呼び名のアイちゃんにつられて。

 

ヴァンステが発表されたときはアイザックのような役を秋山大河が演じる印象だったんだけど、実際にナポレオンを見たらもう第一声から違うな、と思った。

元々の声質にナポレオンの役柄が加わって声に重みがある、秋山さんはラブライブみたいな声優+パフォーマンスのコンテンツもいけそう。声だけでも勝負できそうな迫力を感じた。

あと印象が変わったといえば冨岡さん。以前ライブの映像を見て「パパみがある」とか「MADE女子高校の冨岡先生」と言ったくらい穏やかで頼れる印象だったので、クールな音楽家から激昂しての戦闘シーンはギャップが大きかった。

ダンダンッ!と勢いよく跳んでからのスローモーションな宙返りや、ブリッジから滑らかに回転して立ち上がるような動きにMADEのアクロバット担当を実感した。背と筋肉の厚みもよくわかったから、ピアノ台ごと引っ張ってた黒子さんがひとりで大丈夫だったか心配。

シェイクスピアさんも存在感があったな、黒幕というかほぼ主役みたいな勢い。何度か2階部分の窓が開いて出てきてたの鳩時計みたいで可愛かった。

それとレオナルド、彼についてはホームページで見た「煙草のような小道具は実際には無害です」的な注意書きが頭に残りすぎていて喫煙シーンのたびに「無害なやつだ…」って雑念が湧いてしまったのが悔しい。

 

最後に箱の話。初めて六本木EXシアターに行きました。ちゃんと調べないで入ったんだけど、ステージが地下でB3が最前フロアだったとは。元々ライブハウスなだけあって、バンドサウンド系のBGMで低音が響くのを感じた。

帰りも出入り口の電光掲示板を見上げたら4月の公演予定に「cinema staff×アルカラ」の文字があって「イケメンヴァンパイア」の世界から勢いよく現実に引き戻された。なかなか2.5ミュージカルの直後に見る名前ではないと思う。

前半の演出は前衛的にも感じたけど(前日の疲れもあって眠かった)後半はストーリーが盛り上がって伏線も綺麗に回収され、エピソード0のラストがアプリのプロローグと綺麗に繋がっていて感激しました。

ヴァンパイアの世界をありがとうございました!